BLSプロバイダーとは?資格取得の方法は?
みなさんは、BLSプロバイダーという資格をご存知ですか?
もしかしたら、「自分はこの資格を持ってはいないけど、病棟の先輩が持っている」という人は多いかもしれません。
今回は、呼吸に関わることが好きでBLSの資格を持っているムロくんにも話を聞いてみました。
ムロです。現在はICUで働いています。よろしくお願いします。
・BLSプロバイダーについて知りたい人
・BLSプロバイダーの資格取得を検討している人
・急変対応に苦手意識を持っている人
は、是非読んでみてください。
※今回は、日本ACLS協会の”BLSプロバイダーコース”について紹介します。
BLSプロバイダーとは
BLSとは、Basic Life Supportの略称で、心肺停止または呼吸停止に対する一次救命処置のことになります。
BLSプロバイダーコースは、アメリカをはじめ世界各国で開催されている医療専門家・救命のプロフェッショナルのための一次救命処置(BLS:Basic Life Support)教育訓練プログラムです。(2015年の改訂でBLSヘルスケアプロバイダーコースから改名)
※日本医療教授システム学会より引用
今後、ACLSやPALS/PEARSコースの受講を考えている方は、まずは基礎となるBLSプロバイダーの資格取得から挑戦していきましょう。
BLSプロバイダーの役割
心停止を認識し、迅速に救急対応システムへの出動を要請するとともに質の高いCPRを行っていく。
受講対象
BLSプロバイダーコース受講に際しては医療資格は必要ではありません。職業上高度な救命スキルが必要な人、また興味と熱意がある人ならどなたでも受講できます。
私が受講した時は、看護師の方がほとんどでしたが、他にもライフセーバーや、アミューズメントパーク職員、保育士の方などが参加されていました。ライフセーバーの方は筋肉ムキムキで、ついつい見入ってしまいました。
僕が受講した時は、看護師だけでした。
BLSプロバイダーになるには
準備するもの
・トレーニング用ポケットマスク(成人)
「マウスピース部を取り外しできるタイプ且つ一方向弁つき」のもの
・ BLSプロバイダー マニュアル AHAガイドライン 2015準拠 シナジー
トレーニング用ポケットマスクはACLS協会の公式サイトからも変えますし、Amazonでも購入することができます。ちなみに私はAmazonで購入しました。
僕は、ACLS協会の公式サイトから購入しました。
受講場所
全国各地にトレーニングサイトがあります。
東京では、板橋区の”東京城北ECCトレーニングサイト”や立川にある”立川ACLSトレーニングサイト”などがあります。
コース受講の流れ
1 日本ACLS協会のホームページからコースを予約
日本ACLS以外にも、実施団体はあるのでチェックして予約しましょう。
2 必要な教材を購入
マスクとマニュアルを準備しておきましょう。
3 予習
購入した教材でコース受講日まで予習をしておきましょう。
4 コース受講
受講当日は開催時間に遅れないように会場に行きましょう。
5 実技及び筆記試験
筆記試験の正解率が84%以上であること(21問/25問中) 筆記試験結果が84%未満の場合は当日1回のみ再試験を行います。
6 認定カード受取
認定カードが発行されます。
コースのスケジュール
以下は、日本ACLS協会のBLSプロバイダーコースの時間割一例になります。
時間割 | |
9:00 | ・はじめの挨拶 |
午前 (9:30-12:30) | 成人のBLS ・現場の安全性と評価 ・胸骨圧迫 ・ポケットマスク ・AED ・バッグマスク チームダイナミクス ・蘇生チームの成功 ・高いパフォーマンスチームのアクティビティ |
昼休憩 (12:30-13:20) | 昼食 |
午後 (13:20-16:30) | 小児・乳児のBLS ・窒息について ・スキルテスト (成人のCRP・AED、乳児のCRP) ・筆記試験 |
16:30 | 試験結果発表、修了式 |
講習は、人形を使っての実践が多いので、パンツスタイルの動きやすい格好で行くのがいいですよ。胸骨圧迫などをするので、とにかく汗をかきます。季節にもよると思いますが、薄着に羽織物を持っていくのがベストかもしれません。
私が受講した時の昼食は「焼き肉弁当」でした。
ちなみに僕が受講した時は、めちゃくちゃ美味しい天ぷら弁当でした。
資格を取るのに必要な日数
1日(7時間程度)
資格を取るのに必要な費用
資格取得にかかる費用 | |
受講料 | 18,480円 |
マスク | 1,600円 |
教材 | 4,290円 |
合計 | 24,370円 |
※上記のポケットマスクの費用は、ACLS協会で購入した場合です。
私たちが支払う受講料は、マネキンの人工肺などの消耗品代、カード発行手数料、傷害保険代、事務経費、会場費、設備費、資器材減価償却費、インストラクター人件費・交通費等、教育研究費用(AHA教材の翻訳監修/AHA講師派遣費用)等に使われるそうです。
受講料の行く末をきちんと教えてくれるあたり、信用が持てますね。
更新の必要性
合格すると2年間有効のAHA公式BLSプロバイダー 「BLS Provider 」認定カードが発行されます。
更新するには、BLSプロバイダーコースを再受講する必要があります。
資格取得後の待遇
特に病院で手当が出るなどはありません。一部の私立病院では給与に反映されるところもあるそうです。
まとめ
・BLSプロバイダーへの道は、1日の日数と、24,370円程の費用がかかる。
・BLSプロバイダーコースは、成人のBLSだけでなく、小児・乳児のBLSや窒息時の対応も学べる。
・認定カードの有効期限は2年間。更新するにはBLSプロバイダーコースを再受講しなければならない。
この資格を取ったからといって、病院で手当が出ることはありません。手当はありませんが、病棟内・院内でのBLS研修時に指導者として上司からお願いされることや、周りのスタッフから頼りにされる場面が多くなり自信に繋がります。また、転職の時に有利になることもあります。
私自身は自信を持ってCPRを行いたかったので、BLSプロバイダーの資格を取得しました。講習を受けて、職場で実践する場面では、資格を持っているというだけで自信を持って行動できるようになりました。急変時対応に苦手意識を持つ後輩に勧めたい資格No.1です。
そんなことを言っている私ですが、認定カードの有効期限が切れているので、現状は無効状態です。汗
近々、更新しに行くとしますか・・・!
最後にムロくんから、BLSプロバイダーの資格を取得しようと考えている方々にメッセージをお願いします。
BLSプロバイダーで質の良いCPRを学び、二次救命処置であるACLSプロバイダーの取得に活かすということも可能です。こちらはチームダイナミクスといった蘇生チーム内での連携も重視した研修となっており、より実践的と言えます。
どちらの資格も、医療従事者は全員備えておいて損はないスキルだと僕は思います。
ぜひ、医療従事者のみなさんにBLSプロバイダーの資格を取得してもらいたいですね!
今回は、貴重なお話をありがとうございました。次回のACLSプロバイダー編でも、お話を聞かせてください。
ムロくんのTwitter:@bmw_blogger も、みなさんチェックしてみてくださいね。