2019/08/23  2020/05/02

転職

看護師が語る”ブラック病院”の実態

ナースの皆さん、自分が勤めている病院で「何かおかしい」と感じる時はありませんか?

私は転職を何度かしましたが、その分、「この病院おかしいな」と感じたこともありました。転職をしたことがまだない方は、今いる病院のやり方が当たり前だと思ってしまいますよね。それは当然のことだと思います。

しかし、今働いている職場が、実は、ブラック企業ならぬ、”ブラック病院”だったりするのです…!

少しでも早く気付いてもらえるように、私の体験談も交えながら、病院のブラックな部分をお伝えできたらと思います。

1 残業代が出ない

労働の対価が法律の通りに支払われないというのは、大問題です。ブラックの称号を与えて良いでしょう。

一概に「残業代が出ない」と言っても、その実態は様々です。

そもそも残業代を申請できない
残業代は一応出るが、金額が不十分
残業代の申請はできるが、真実と異なる残業時間を申請するよう強制される

というのが、よくあるパターンです。

以前私が務めていた病院は、「師長から残業代申請許可が降りないと申請してはいけない」という謎のローカルルールがありました。

また、かなりの時間残業しているのに、先輩が申請をしていないため、後輩達も申請しにくい雰囲気もありました。

当然、スタッフと話していたり、遊んで残っているわけでもなく、終わらない看護記録、転院サマリー、突然の入院と緊急対応の仕事をして残っています。それなのにサービス残業だなんておかしくないですか?働いた時間分の賃金をもらうというのは、労働者にとって当然の権利なのですから。

そのため、私は変なローカルルールがある病院に転職した時でも、率先して残業代申請をするようにしました。そうすると「師長の許可がなくても残業代申請していいんですか?」と後輩達から言われます。

そのような場合には、「きちんと仕事をしているから申請するのは当然の権利なんだよ」と伝えます。当初、そんな私の姿を見た先輩からは、あまり良い目で見られませんでしたが、いつの間にか8割のスタッフが師長の許可関係なく、残業代申請するような環境に変わっていきました。

それでも、残りの2割のスタッフは「2時間だけの残業だから申請しなくていいわ」などと話し、残業代申請をしていませんでしたが、そのような先輩がいると、一緒に残っている後輩達は申請し辛くなるものです。

きちんとした残業代申請を先輩たちからしていくと、環境は変わるのだと思います。

2 仮眠時間が設けられていない

看護師に夜勤はつきものです。夜勤には当然、仮眠が必要なわけですが、私が勤めていた病院では、恐ろしいことに仮眠時間がありませんでした。

「そんな病院あるの?」と聞かれることもありますが、あるのです。ちなみに、病院サイトには、「仮眠時間あり。二交代で2時間ずつ」と記載されていました。

しかし、夜勤勤務の初日に2時、3時、4時…と時間が過ぎても夜勤メンバーの誰一人仮眠を取る気配がありません。

疑問に思って「みんな仮眠しないの?」と後輩に聞くと「仮眠?仮眠なんてしたことないですよ。」と衝撃的な言葉が返ってきました。そうなんです、ここの病院には仮眠時間が設けられていないんです。

休憩時間はあって、個々にテレビを見たり、持ち寄ったお菓子を食べたり、話したりはしています。私にとっては、夜勤でそんな時間は必要なく、仮眠をしたい…!ただそれだけでした。

ここで働いているスタッフは仮眠時間がないことに疑問を思っていないのか調査してみたくなり、こっそりと聞いてまわりました。

新卒からずっとこの病棟でしか働いたことのない人は「仮眠時間というものを今まで知らなかった」と話しました。

先輩達は「仮眠時間はないけど休憩時間はあるからね」と話しました。私と同じ中途採用で入った人は「おかしいよね。私も仮眠時間欲しいと何回か提案したけど無理だったの。だから諦めた。」と話していました。

仮眠が取れない夜勤を続けていたら、身体の調子が悪くなってしまいます。そんな病院は、ブラックと言っていいと思います。

3 ナースコールは下っ端が対応する

病院によって、以下のようにナースコールを取る順番につき、ルールが決まっていたりします。

・ナースコールがなったら誰でもいいから取る
・自分の受け持ちは、自分で取る
・自分の受け持ち以外は、取らない
・フリーが全てのナースコールを取る
・経験年数の浅い順からナースコールを取る
・3年目以下が率先して取る

実際に、転職した先の病棟で、「夜勤時は下っ端(経験年数が浅い人)が全てのナースコールに対応する」というルールがありました。何故このおかしなルールがあるのか確認したところ、「管理職になれなかったお局様が発案して誰も逆らえずにそうなってしまった」そうです。

初めて夜勤に入った時に、すぐそのナースコールに対しての違和感を感じました。私はAチームのリーダー、2年目の子がBチームのリーダー、ベテランがフリーの役割で夜勤をしていました。

Aチームのナースコールが鳴ると、すぐに2年目の子が立ち上がり「行ってきます」と言いナースコール対応にまわりました。フリーの先輩は休憩室でテレビを見ています。

その後もAチームのナースコールは続き、2年目の子はずっと出続けているので、「フリーってベテランだから出ないの?」と聞くと、「夜勤は、ナースコールには下っ端が対応するって決まっているんですよ」とローカルルールを教えてくれました。

しかし、明らかにナースコール対応ばかりで自分のやるべきリーダー業務が出来ていないし、フリーは相変わらずテレビを見ています。

私は、Aチームが比較的落ち着いていたので、Bチームのナースコール対応を一緒に行いました。

すると、BチームのリーダーがAのチームのナースコールに出てるのに気づいたベテランが「あなたは出なくていいわよ。若い子に出てもらえればいいんだから」と話したため、「彼女はリーダー業務が一切出来ていませんよね。夜勤は3人しかいないので協力していかないといけないと思うんです。よろしくお願いします。」と伝えました。

ベテランは「はあ、面倒くさい中途の人が入って来たな」と言わんばかりの目をして私を見ていましが、その後、文句を言いながらもナースコール対応を始めていました。

もっと早よやれし!

4 人が不足し過ぎていて、休みが取れない

ナースってどこの病院も人手不足と言われていますよね。そのせいで、有給を全然使わせてくれない病院もあります

昼間働いたり、夜に働いたりして頑張っている私たちにとって唯一の楽しみといえば「お休み」なんです…!

たまーに若手同士で「今月も有給もらえなかった」と不満そうに話していると、ベテランさんが「若くて体力ある時は働きなさいよ。私なんて50過ぎてるけど頑張っているのよ。」みたいなことを言うことがあります。

そういうことではなくて、彼氏とデートしたり、友人と旅行に行ったりしてリフレッシュするためのお休みが欲しいんですよ。

今働いているナースは、人手が足りないから一人に対して任される仕事量が多く、かなりのストレスを感じています。

そんな状況だからか、お休みを希望するスタッフに対して、上司は「お休みを取るなんてどういうこと!?」なんて突っかかってきます。「どういうこと」と言われても困ります。有給は労働者の権利ですよ。

あと、ずっと言おうと思っていましたが、師長!自分だけこっそり有給使ってるのバレてますから!

5 夜勤回数が明らかに多い

三交代の病院に勤めていた時の夜勤の回数は、月8回が平均でした。

しかし、スタッフの退職や産休などが重なり、夜勤を出来る人が限られてきたときは、夜勤が月に13〜15回になる時がありました。明らかにおかしいシフトです。

そんなシフトをこなしているスタッフは、毎月出る勤務表を見て「今日は夜勤が12回しかない。嬉しい。」と夜勤回数に対しての感覚が麻痺してきていました。

「人手不足だからみんなで夜勤を頑張っていくのが普通でしょ」と思って、何もしない上司が一番許せません。この悲惨な状況を大問題として認識して、少しでも早くスタッフの夜勤回数を減らして欲しいものです。

ちなみに、夜勤が増えるに連れて、がんのリスクも高まるとか。

6 休日にセミナー参加を強制される

以前勤めていた病院では、月に1回キャリアアップのために院外セミナーに参加するように言われていました。しかも、休日に。

周りのスタッフもセミナーに参加していたので、それが普通なんだと思っていました。しかし、看護学校の同期に話をしてみると「3ヶ月に1回くらいのペースなら聞いたことあるけど、毎月参加はキツいね。初めて聞いたよ」と言われました。

他の病院も同じようにしていると思っていた私は、衝撃的でした。
月に8回程しか休日がないのに、その内の1日はセミナーで消えるなんて…!確かにキャリアアップにはなりますが、毎月の強制参加はひどすぎじゃないですか?

休日にセミナー参加を強制してくるのに賃金を支払わないとなれば、ブラック病院と言って良いでしょう。

7 病棟カンファレンスの参加は、夜勤以外は強制

ほとんどの病院が月に1回、病棟カンファレンスを開いていると思います。

私の病棟でも月に1回ありましたが、時間帯が「毎月第2火曜日。17時から1時間程度」でした。そして、その時間帯の夜勤スタッフ以外は強制参加でした。

日勤も17時に終わるなんてことは滅多にないので、仕事を一時中断して参加。その日の深夜入りも17:30までは参加。なんと、本日の朝に夜勤明けで帰った方々も参加、といった過酷な出席を強いられていました。ブラック病院らしい運用です。

初めは夜勤明けで参加するのがすごく辛く、参加したくありませんでしたが、全先輩達が夜勤明けでもしっかりと参加されていたので、下っ端の私が出席しないなんてことはできませんでした。

ちなみに、同じ病院で部署を異動すると、ルールは全く異なっていました。カンファレンスを行う時間帯は日勤勤務内で、出席者は日勤メンバーのみでした。

病棟カンファレンスに出れないスタッフで意見のある人は、出席者に託しておくルールでした。

まとめ

少しでもおかしいなと感じた時は、看護学校の同期やネットで情報収集をすることをオススメします。そうすると「あ、私の病院ってブラックなんだな」とか、「ブラックかもしれない!」と気付けるでしょう。

皆さんが、少しでも環境が整っている場所で働けるようになってほしいと思います。