転職先の看護師にされて辛かったこと【8年目転職時の実体験】
はじめに
看護師の私は、今までに転職を3回経験したことがあります。
転職先を探すときは、情報収集をしてから病院見学に行き、自分が働きたいと思える場所なのかしっかりと見て決めるようにしています。
ところが、しっかりと病院の雰囲気なども含めて決めたはずの病院が、実は中途採用者に対して厳しい環境であることもあります。
私は、「どこの病院でも、中途採用者は厳しい環境の中で働いているのかな?」と疑問に思ったため、転職経験のある友人に話を聞いてみました。
そうすると、大体同じような経験をしていることがわかりました。
この記事では、皆さんのリアルな転職経験をもとに、転職後に待ち受けていることについて紹介していきます。
これから転職しようと考えている人に、転職した後、どのような環境になるのか事前に知っておいてもらいたいからです。
事前に知っておくことで、ある程度の心の準備ができますし、実際に起こった際には「これが、中途採用者あるあるか。」と受け流せるかもしれません。
1 色んなスタッフからアナムネ聴取される
転職した初日の朝礼時に、師長から自己紹介を求められステーションで簡単な挨拶をしました。
朝礼後は、師長から病棟オリエンテーションを受け、その後、病棟を周りながら物品の場所などを教えてもらいました。
お昼休憩になり、食堂組は食堂に行く流れでだったので、私も一緒に食堂で食事をすることにしました。
病棟スタッフ4人で空いているテーブルにつき、食べ始めるとすぐに「何でこの病院を選んだの?」「住まいはどこ?」「何歳?」「彼氏は?」と怒涛のアナムネ聴取が始まったのです。
私は、一つひとつの質問に答えましたが、答えたあと、すぐにまた次の質問をされることの繰り返しでした。
食堂で注文した醤油ラーメンは冷め、麺は伸びきっていました。
その日は、緊張して朝ご飯もあまり食べて来られなかったので、お昼は美味しく食べたかったのが本音でした。
休憩室に戻ると、自分で作ってきたお弁当を食べている人やコンビニなどで買ってきた人がお昼を食べていました。
そこの輪に入るとすぐに、「何歳なの?」「どこに住んでいるの?」と先程食堂でされた同じ質問を繰り返されます。
私的には食堂の地獄のようなアナムネ聴取に疲れたので、友人にLINEしたかったのですが、そんな時間は与えてもらえません。
私は、また質問してもらったことに対して、同じことを答えていきました。
何とか初日の仕事が終わり、休憩室で帰り支度をしていると、今日話が出来なかったスタッフからのアナムネ聴取が始まります。アナムネ第3関門です。
このような地獄のアナムネ聴取は1週間ほど続きました。
患者さんのようにデーターベースに誰か私の情報を入力しておいてくれないかな・・・
と、心の中で思ったのでした。
2 2ヶ月間、記録チェックを受けないと本書きしてはいけない
※紙カルテ時代のお話です。
紙カルテを採用している病院に転職した時の話です。
転職した病院はSOAPの記録方式で、以前の病院と同じだったので「慣れているから良かった〜」と思っていました。
ところが、初日にフォロー担当者から「今日ケアをした○○さんの看護記録の下書きをしたら見せてください。」と言われたのです。
「8年目で下書きって新人みたいで辛いな・・・」と思いましたが、指示に従い下書きをして提出しました。
フォロー係からは「アセスメントが出来ていないね。私がOK出すまでは、下書きをして提出するようにしてください。」との指示。
私は、自分がアセスメント出来ていない部分はどこなのか気になったので聞いてみると、その事に関しては何も教えてくれませんでした。
初日からフォロー担当者と関係が悪くなるのも嫌なので、言われた通りに受け持った患者さんの看護記録は下書きをして、フォロー担当者にOKをもらってから本書きしていました。
電子カルテであれば、直接入力して、修正も楽に出来て良かったな〜と少し後悔。
受け持ちが1、2人の時はまだ良かったのですが、5人、10人と増えていくと下書きの記録の量もものすごい数になっていきます。
しかし、フォロー担当者からは一向に「下書きしなくてもいいよ」と言ってもらえません。
そんな下書き生活が2ヶ月間続いた時に、「もう下書きで残業するなんて限界だ!」と思い、師長に相談をしました。
師長からは「まだ記録の下書きをしていたの?!もう本書きしていいですよ。フォローの人には私から伝えときますから。」と言ってもらえて、その日から記録の下書きはなくなりました。
自分の許可がなく本書きすることになったのをよく思わなかったフォロー係は「まだアセスメントが出来てないんですよ。」と師長に訴えたみたいですが、師長の許可は覆らなかったようです。
こんな風に、中途採用者に対しては、嫌がらせ?と思われることも起こりがちなのです。
3 中途採用者とフォロー担当者との交換ノート
中途採用で入った私は、はじめのうちは日勤勤務が続きました。
フォロー係は夜勤もしているので、毎日私のフォロー担当者に当たるわけではないのです。
そのため、担当者が不在の時は別のナースが代わりに担当してくれます。
そして、その病院では、どのナースが担当に当たっても私の進行状況がひと目見てわかるように、「中途採用者と指導者側との交換ノート制度」がありました。
新人ならまだわかるけど8年目でも記入するの?と疑問しか感じませんでしたが、「郷に入れば郷に従え」といいますから、おとなしく従うことにしました。
交換ノートに自分が書く内容は、
・本日実施したケア
・反省点
・今後の課題
です。指導側は赤ペンでアドバイスを書いてくれるようになっています。
初めのうちは、フォロー側も一生懸命にアドバイスを書いてくれましたが、段々と記載されなくなっていきました。
本来情報共有するためのノートのはずですが、その日のフォロー側がノートを開いて私の進行状況を指導前に読んでくれていなかったりしました。
そのため、ノートに書いたことを、「昨日、オペ系に関しては自立と言われました。本日は退院の処理について実施するよう言われています。」と結局口頭で伝えることもありました。
最終的には、指導側からのアドバイスは全く記入されなくなり、自分が一方的にノートに記入する状態になりました。
これはもはや私の日記です。
こんな風に、無駄そうな制度にも、大人しく従うことが必要だったりします。
4 フォロー担当者が中途採用者嫌い
これはもう致命的です。
私のフォロー担当者は、中途採用者をやたらと「新人扱い」してくる人でした。
周りのスタッフも、担当者の人に対しては恐る恐る話しかける姿や、かなり気遣いをしているような状況です。
転職して2日目、フォロー担当者とオペ出しを一緒に行いました。翌日もその担当者とオペ出しを行う予定で、「だいぶ出来ているので明日は出来ることはメインでやっていきましょう」と言われていました。
翌日になり、担当者が出勤する前に、昨日教えてもらったオペ出しの準備や点滴確認など、出来ることをしておきました。
担当者が出勤してきたので、「本日もよろしくお願いします。今ここまでやらせてもらいましたので、後ほど確認をお願いします」と伝えると、
「ハリキリすぎじゃない?色々と終わらせてるようだけど私のフォロー要らないってこと?」
と耳を疑うようなことを言い、明らかに機嫌が悪くなりました。
昨日、「出来ることはメインで行っていい」と言われましたが、具体的に1人でやっていい箇所の確認をしておくべきだったのかな・・・と思い、謝罪をしました。
しかし、機嫌は直らず。その日はずっと仕事がしづらかったです。
他のスタッフに今日の出来事を伝えると、ひとりのスタッフが「何かね、1回で教えたことがちゃんと出来ていたことが嫌だったみたいよ。あの人は中途採用者嫌いだから。あなたは気にしないで大丈夫よ」と言われました。
どんな理由だ・・・。中途採用者嫌いな人が何で中途採用者を担当しているんだ・・・。と、疑問が脳内を駆け巡りました。
後々、中途採用者の退職が続いたことから、ようやく彼女の存在が問題視され、中途採用者の担当者は変更になりました。
もっと早く動いてください、上司!
5 できると思われて放置
「看護師8年目」の肩書きからか、「できる人が来た!」と周りから思われてしまったパターンもあります。とにかく何も教えてもらえないのです…!
転職して間もない時期に、入院を担当する日がありました。
その日のフォロー担当者は4年目の後輩の人で「今日入院1件ですよね。もう余裕だと思いますので、わからないことだけ聞いてください。私は他のチームメンバーのフォローに入っていますので」と朝一発目に言われました。
確かに、入院は今まで何十件も取ったことはあるけれど、ここの病院では丸っ切り初めてなので、どこに書類が入っているかもわかりません。
そのことを伝えても「大丈夫ですよ」の一言。大丈夫じゃない!笑。
しかし、本当にわからなかった私は事務さんに聞いたり、他の聞きやすそうなナースに聞いたりなどして何とか入院を取り終えました。
入院を終わったのを見て「やっぱりできる方ですね」と言われた時は、返す言葉も見つかりませんでした。
中途採用者が転職して間もない頃にされて一番辛いのは「放置」だと私は思います。
6 物品の場所を聞いても、何でわからないの?と言われる
転職して3日目の朝、外科回診についていた時のことです。
回診につくナースは、師長、主任、チームリーダーでした。私はその中に混ざって見学をしていました。
ある患者さんのところでサージカルテープ(3M)が切れてしまい、「取ってきてほしい」と師長さんに言われました。
私は急いでテープを探しに倉庫に向かいましたが、第1、第2倉庫どちらに置いてあるか探すより、今は早急にテープが必要なので、スタッフに聞くのが早いと判断しました。
そこで、ステーションでスタッフと談笑をしていた6年目ナースに「3Mテープはどこに置いてありますか?」と聞きくと、明らかに何で私に聞いてくるのオーラをぷんぷんに出され
「備品類は第1倉庫に決まっているじゃないですか」
と言われたのです。心の中で、「知らん!」と思い、困っている私を察して、新人さんが「案内します」と言って、第1倉庫の3Mが置いてあ場所まで教えてくれました。私には、新人さんが天使に見えました。
それにしても6年目ナースよ、談笑している時間があれば教えてくれてもいいじゃないの。
そもそも回診時に3Mのストックを置いていないのもおかしいですし、誰も持っていなかったのも不思議です。
7 人手不足で即戦力扱いをされる
転職した初日から、日勤メンバーの一人としてカウントされるパターンです。
人手不足は事前の情報収集の時にはなかったですし、看護部長との面談の時も人員は足りていると言われていました。
しかし、急な病欠が2人出たようで、転職初日の私が即戦力扱いされる結果になってしまったのです。
病棟オリエンテーションを受けてすぐに、点滴のルート取り、採血などのフリー業務を任されました。
先ほどオリエンテーションで物品の位置などは聞きましたが、全ては覚え切れずに処置台の引き出しを何回も開けたり閉めたりして、使用したい物品を探しました。
電子カルテも以前使用したことのあるパソコンとは違うので、バタバタしているスタッフに聞きながら入力したりして気付いたら17時30分。
師長から「今日はもう帰って、初日から沢山働かせてしまってごめんなさいね」と言われました。
こんな状況でなんとか働ききった自分を褒めてあげたい。そして、ミスをしていても責めないでもらいたい。と思いながら営業スマイルをして上がらせてもらいました。
8 そんなことも出来ないの?と言われる
転職して3日目。
「昼食前の血糖チェックの時間なので、測定をお願いしてもいいですか?」とチームリーダーに頼まれました。
リーダーは私の返事を聞かないまま、担当部屋に急ぎ足で戻っていきました。
まあ血糖測定ぐらいなら大丈夫か、と思い、血糖測定の準備を始めることに。
しかし、血糖測定器を見てビックリ。今まで見たことのない旧式の物でどう使用するのか全くわからないのです!説明書を探しましたが見つかりません。
私は、物品の使い方がわからないまま患者さんに実施するのは危険だと思い、使用方法をスタッフに聞くことにしました。
しかし、ステーションには誰もいません。そこに、ひとりのナースが現れました。
「いま、お時間宜しいでしょうか。血糖測定を行いたいのですが、この器具は使用したことがないので使い方を教えてもらえませんか?」と聞きました。
すると、「え、血糖測定も出来ないんですか?8年目ですよね?」との返答。
反論したい気持ち、悔しい気持ちをぐっと堪え、使い方を聞くのでした・・・。
9 明らかに年下からのタメ口
看護師10年目で転職した先の病棟には、20代〜50代のスタッフが働いていました。
その中にいた3年目のナース。
「点滴のルート取れる?」「教えるからこっち来て」と、がんがんタメ語で話しかけてきます。
そのナースは、自分より後から入職した人は経験年数関係なく後輩という考え方のようです。どんなに年齢が上でも、年下扱いをするのです。
彼女には彼女のルールがあると思うのですが、この光景をおかしく思わない、見て見ぬ振りをする病棟も何だかおかしいなと思いました。私は全力の敬語を使って関わることにしました。
その後に入った経験年数が15年目のベテランさんに対しても「パソコンのログアウトして」などのタメ口。
言われた中途採用者もポカン顔。「彼女は自分より後に入職した人に対してはタメ口なんですよ」と伝えると「そんなことがあるんですね、イラッとしますね。」と話していました。笑
あの若手に接遇マナーを教育してあげないと、師長!
10 1度のミスを見て、使えない扱い
私の受け持ち患者さんは、抗生剤の点滴や吸入、点眼など時間で行う処置がたくさんありました。
そのような場合は、時間処置が抜けないようにタイマーをセットしながら動きます。
しかし、16時頃夜勤で出勤してきたスタッフに「処置台に○○さんの14時の点滴があるけど、何でやっていないの?」と教えてもらい、初めて、やり忘れていることに気づきました。
転職後すぐにミスをしてしまったのです。
周りにいたスタッフからは「あの人8年目だよね、出来ない人なんだね」といったコソコソ話が聞こえてきます。
あまり気にするとメンタルが持たないので平常心を装いながら働きましたが、自宅に帰ってからは振り返ると、やはりあの「出来ない人発言」が悔しい!
二度と抜けがないようにしようと、対策を練りまくったのでした。
11 意見が通らない
転職してすぐの頃は、「ここおかしい」「そのルールやりづらい」といったように、病院のおかしなところに気付きやすいものです。
反対に、何年も同じ場所で働いていると、その環境が当たり前になってしまい、おかしいことにも慣れてきてしまいます。
私が転職先でおかしいと思ったのは、休日に働いていた時の保清のことです。
休日は平日よりスタッフの人数が少ないのに対して、保清が必要な患者さんの数は、休日と平日で同人数いました。
つまり、休日は、少ないスタッフで行うので、明らかに時間がかかってしまいます。保清が終わって時計を見ると、お昼前の血糖値チェックの時間になっている時もありました。午前のケアは保清以外何も出来ないのです。
私は、「これはおかしい」と感じ、話しやすい先輩に相談をしました。
すると、「ここの上司は、新しいことを取り入れるのにストレスを感じる人なの。だから言っても変わらないと思うよ」と言われました。
先輩にそう言われたので、我慢して働いていましたが、休日出勤するたびにストレスが溜まります。
半年経った頃、とうとう上司に相談することにしました。すると、
「あなた来てまだ半年よね?今までみんなそのルールでやってきているの。だから今までと同じにやってちょうだい」の一言を頂きました。見事な撃沈です。
その言葉を聞いて、この人にはついていかないと心に決めたのでした。
まとめ
私たち中途採用者は、少しでも早くひとりのスタッフとして数えてもらえるように業務や病棟のルールを必死になると思います。
そんな苦労も知らず、厳しく当たられたり、はたまた即戦力として扱われたり、中途採用者には様々な苦難が待ち受けています。
転職先に慣れるまでは自分本来の力を発揮できないことは仕方ありません。
・スタッフの名前がわからない
・採用されている物品や電子カルテが以前働いていた場所と違う
・病棟のルールを把握しきれていない
そんな中で、即戦力となれる方が不思議です。
私のように、周りから「使えない中途採用者」といったレッテルを貼られてしまっても、それはほんの少しの期間だけ。
自分本来の力が発揮出来るようになったら、そんなレッテルは剥がれていきます。
むしろ、他の職場のことも知っている点で、頼られる存在になると思いますので、少しだけ辛抱して過ごしましょう。
それにしても、スタッフがもう少し中途採用者に対してウェルカムな気持ちと優しい気持ちで接してくれると良いのですが、どうしてこんなに冷たい対応になってしまうのでしょうか・・・。