2019/08/23  2019/11/21

体験談

ナースが入院患者さんに対して「同業者?」と思う時

はじめに

ナースとして働く皆さん。データーベースの職業欄に「看護師」と記載されていないのに、患者さんと関わっていくうちに「おや、同業者?」と感じる瞬間はありませんか?

身の振る舞いや、日常会話で実は同業者だと判明した!なんてことはよくある話です。

ツイッターで、[自分が入院した時に職業欄に自分はナースであると申告するか]と聞いたところ、

・29%が「申告する」
・71%が「申告しない」
という結果になりました。(1,853票)

また、[申告しない方は職業欄にどのように記載しているのか]の問いに関しては、
・81%が「会社員」
・11%が「主婦」
・5%が「パート」
・3%が「フリーランス」
でした。(1,113票)

申告しない理由は、
・「同業だからご存知だと思うので」などと言われ、説明を省かれるのが嫌だから
・相手が同業者と分かれば仕事がやりづらくなるかもしれないといった気遣い
などでした。

しかし、申告しなくても、やはり身体から溢れ出るナースオーラでわかってしまいますよね。

私も一度、自分はナースであることを隠して入院したことがありましたが、症状などの報告の仕方でバレてしまいました。

あの時は職業欄に「会社員」と書いていたので何だか恥ずかしかったのを覚えています。

ここでは、もしかして同業者?とわかってしまった場面を紹介していきます。

1 「ここの血管22Gでいけます」

受け持ちの患者さんに点滴の指示が出たので、ルートを取る準備をして患者さんの部屋に向かいました。

私は、「これから抗生物質の点滴を始めます。まずは点滴の針を刺しますので腕を見させてもらいますね。」と説明しました。

患者さんは右利きだったので、左手で血管を探している時に「唯一、ここの血管は22Gでいけると思います。」と患者さんが話されました。

22Gを使う一般の方はなかなかいないので、「あの…もしかして同業者ですか?」と聞くと、患者さんは「あ!もうバレちゃった。外来勤務なんですけど…」と教えてくれました。

その後は、「同業者と聞いてからのルート確保も、これまた緊張しますよ〜」などと患者さんと話しながら何とか無事にルート確保できました。ナース服の下には少し汗をかきました。

同業者だからこそルート確保の手技や声掛けの仕方などで上手いかどうかわかってしまう部分もあるので緊張してしまうのです。私はできるならやりたくない…!笑

2 点滴のクレンメを閉じてくれる

抗生物質の点滴を施行して、患者さんには「30分後にまた見に来ますね」と伝えタイマーをセットしてその場を離れました。

ナースコールの対応をしていると伝えた時間から5分ほど、患者さんの部屋に行くのが遅れてしまって「遅れて申し訳ないです。点滴終わりましたよね?」と言いながら点滴を見ると、抗生物質は空っぽでクレンメが閉じてありました。

クレンメが閉じてあることを不思議に感じて私は、「どなたか別の看護師来ましたか?」と患者さんに尋ねると、「点滴が落ち切ったので(クレンメ)閉じておきました。看護師さん達忙しそうにされていたのですみません。」と話されました。

よくよく話を聞くと同業者でした。しかも救急ナース!救急に興味を持っていた私は入院中に仕事のことをたくさん聞かせてもらいました。

3 報告の仕方が申し送りのよう

ある日勤で、扁桃腺炎で入院をしている患者さんを担当していました。

お身体の具合はどうですかと患者さんに尋ねると、「だいぶ良くなってきています。体温も36度台、食事は昨日のお昼から5分粥食になりました。喉の痛みは、食事を飲み込む時にまだ少しありますが、ほぼ全量食べています。空咳も続いていましたが昨晩から少なくなってきました。他には、特に困っていることなどもありません。」と聞きたい情報を全て話してくださいました。

結論から話して経過を話す順番…どこかで聞いたことのあるような報告の仕方だなと思っていたら申し送りでした。

扁桃腺摘出術パスの観察項目順に症状を話してくれているのか?と思うくらいで、私は電子カルテにスムーズに入力することができました。

話し終えたあとに同業者か聞いてみると「やっぱり話しているとわかってしまうんですね」と話していました。

私も「症状の伝え方が申し送りのようでしたよ。」と伝えると職業病ですねと微笑んでいました。

4 立ち居振る舞いがナース

本日受け持ちの患者さんにCTの検査が入っていました。

朝のラウンド時にCTの時間を伝えて、検査の時間になったので患者さんの病室に行って声をかけに行きました。

カーテンを開けると、ベッドに腰をかけ待っていてくれました。検査の前にトイレに行くかたずねると、「先程行ってきましたので大丈夫です。」と話されました。

その後、CT室に一緒に行き患者さんには待合室の椅子に座っておくように説明をしました。

私がCTの窓口で受付をしていると、同じく待合室に座っていた高齢のおばあさんが自らの力で立ち上がれないのを見るなり、患者さんが手を差し伸べていました。その介助をする姿を見て「同業者だ…!」と思いました。

私は患者さんに「介助してくださってすみません。ここからは代わりますね。もしかして同業者でしたか?」と聞いてみると「ナースです。今自分は患者の立場なのに不思議と手が出てしまう。お恥ずかしい。」と話されていました。

5 内部事情を把握してくれている

毎日顔を合わせるドクターでも、中には気難しい人もいて、ナースはコミュニケーションをとるのに苦労していたりします。

中でも、同じことをナースから聞くのと患者さんから聞くのとでは、対応が全く違うドクターには本当にストレスを感じていました。

ある時、患者さんから「昨日の採血結果を先生に聞きたいんですけど、いつ頃聞けますか?」と聞かれ、そのドクターの本日の予定はオペが3件続いているので「夕方くらいになるかもしれないです」と伝えました。

念のためドクターにも「○○さんが、昨日の採血結果を聞きたいと話されています。先生はオペが3件入っていたので夕方以降とお話しましたが良かったでしょうか?」とたずねると、「俺、忙しんだよね!」との返答。答えになっていません。

看護師にはそんな態度をするドクターですが、患者さんから直接聞かれた質問に対しては丁寧に説明をします。ナースの中では、患者さんがドクターに聞きたいことがある場合は、直接ドクターに聞いてくれたらいいな、なんて思うことも正直あります。

そんな中、最近入院してきた患者さんが、朝の回診時に、ドクターに聞きたいこと全てを聞いていてくれたことがありました。

一般的には、回診が終わってから「あ、先生に聞きたかったことを聞くの忘れちゃった。」と話し、ナースに伝言を頼む患者さんが多いのですが、その患者さんだけは違いました。何だかこちら側の空気をすごく読んでくれている感じがするのです。

「何だかありがとうございます。」と伝えると、「あの先生、気難しそうですもんね!私の病院にもいます。あのタイプはナースが聞くより患者が質問するの方がいいかなと思いまして。あ、申告はしていませんがナースです。」と話してくれました。

私はそれを聞いて、病院では出来るナースなんだろうなと心の中で感心したのでした。

6 夜勤者への気遣い

夜勤をしていると、バタバタして、気付いたら朝の6時なんてことはよくあります。

そして、患者さんの起床後から、鳴り止まないナースコール対応をしながら病棟中を走り回ったり、十数人もの採血をしたり、モーニングケアなどをしていたらあっという間に朝食の配膳の時間になります。

あまりの忙しさに、血圧計や体温計を乗せて運んでいるワゴンが病室の真ん中に置きっぱなしになっていることもあります。

患者さんに朝食を配り食べやすいようにセッティングをしている時に、ひとりの患者さんから「夜勤お疲れ様です。今日も朝からナースコールが鳴りっぱなしでしたね。今日も残業ですか?」と労いの言葉をかけてもらいました。

また、「夜勤中は仮眠取れましたか?」など夜勤者に対して心配をしてくれたりもして、話していくうちに「同業者だったんだ!」と気付くことがあります。

7 自然と出る医療用語

担当している患者さんの点滴ルートが、血管炎を起こしているようだったので差し替えることにしました。

患者さんには「点滴を入れ替えるための準備をしてきますので、5分程お待ちください。」と伝え、ステーションに戻り点滴差し替えの準備をしました。

準備が整って、再度病室に訪問すると、先ほどまでいなかった面会者の方々が数名いました。私が、「面会者のいる中で点滴ルート取りをするのか。なんか緊張するな。」と思っていると、患者さんが面会者の方々に「これから点滴のルートを取ってもらうから、談話室で待っていてもらえる?」と私に配慮した声かけをしてくれたのです。

ありがたいな〜と思いながら、ちょっと何だか違和感。あれ、「ルート」って言いました?なかなかそのワードを使う一般の人はいません。

「もしかして同業者ですか?」と尋ねると、「はい…。」と小さな声で話されました。点滴ルートを取る時に面会者がいると緊張してしまうナースの気持ちを汲み取って対応していただき、ありがとうございました!

8 不穏患者さんを気にしてくれる

入院後の環境の変化やオペ後のせん妄があり、夜中になると落ち着きがなくなる患者さんがいます。

そういった患者さんの対応をしていると、対応中の声や物音が他の患者さんの部屋まで聞こえてしまう時もあります。私たちは、他の患者さんを起こさないように、ものすごく配慮して対応しているのですが、結構聞こえてしまっているようです。

そんな状況で、夜が明け、朝のラウンドをしている時に「夜中、おばあちゃん大丈夫でしたか。結構声が聞こえたので不穏なのかなと思っていました。夜中は看護師の人数少ない上に、イレギュラーな対応をしないといけないから大変ですよね。」と1人の患者さんから言われました。

「不穏」というワードと、不穏患者さんの心配をしてくれていることから気になって確認をしてみると、やはり同業者でした。

9 新人さんへの理解がある

新人さんが、初めて一人で入院を担当する日がありました。

今まではフォローの先輩と一緒に入院を担当していましたが、先輩から1人で入院とっていいよと許可が出たので、本日がデビュー戦です。

わからないことがあったらすぐにチームの先輩に聞くように、フォローの先輩から言われていました。新人さんは、自分のノートに書き留めてあるものを見ながら自分のペースで仕事を進めていました。

しかし、新人さんの様子を見ているとナースステーションと入院部屋を行ったり来たりを繰り返していました。

私は、その行動が気になったので、新人さんに「患者さんに聞くことは、まとめてから病室に行くようにしましょうか。何回も行くと患者さんの負担になってしまいますからね。」と伝えました。

新人さんは「そうですよね。もう10回くらい確認しに行っていました。」と話しました。

10回?結構な回数訪室していると思ったので、患者さんからクレームが来ないかなと心配になり、患者さんに一度挨拶をしに病室に向かいました。

私は、「先程から何回も入院担当のナースが来て申し訳ないです。これから一緒に担当致しますのでお願いします。」と伝えると、患者さんから「いえいえ、新人さんかなと思って見守っていました。明日手術だけどオペオリいつされるのか時間を知りたいのですが、一生懸命にやっている姿を見ると聞けなくって。」と話されました。

新人さんをこんなにもあたたかい目で見てくれていることと、「オペオリ」のワードで、同業者だとわかりました。

あたたかく新人さんを見守ってくれてありがとうございます。あの時の新人さんは、お陰様で成長し、今は彼女が新人指導をしています。

10 採血の時の協力

採血をする時は、親指を中にしてグーの形でにぎってもらい行いますが、ナースが言う前にその動作をしてくれる方がたまにいらっしゃいます。その時の患者さんもそうでした。

針を刺してシリンジで血液を引いていきました。しかし、今回の採血では8ccの血液量が欲しいのですが、6cc取れたところから血液が引けなくなっていきました。

色々と試行錯誤しましたが、難しい。それを見た患者さんが「これで引けてこないかしら?」と話して、採血側の握っていた手を開いたり閉じたりを繰り返してくれました。その後ゆっくりと血液が引けて8ccまで凝固せずに引けてきました。

これは完全に同業者だと思い聞いてみたところ、大当たり。本来ならば採血を実施している私が、血液が引けなくなった時に「ゆっくりと手を開いたり握ったりを繰り返してもらえますか?」と提案すべきなのに、その前にやってくれるところが…!ありがとうございました。

まとめ

職業を隠して入院していても、やはり会話や行動からナースだとわかってしまうものです。同業者とバレた時は、何だか恥ずかしい気持ちになるようです。それであれば最初から申告しておくのが良いかもしれないですね。

一方で、同業者であることを隠しておき、入院した病院は入院時の説明、オペの説明、退院の説明はどんな感じでやっているのか、自分の勤めている病院とは何が違うのか学びたい気持ちもあったりします。

同業だと知られると説明を省かれてしまうこともあるので、隠したくなっちゃうんですよね。

私は、他の病院のこともたくさん知りたいので今度また入院することがあったら、職業はまた「会社員」と書くかもしれません。そして、きっとふとした時にバレるんだろうと思います。