【タイプ別】患者さんとの関わり方
当たり前ですが、病棟に入院してくる患者さんには、様々なタイプの方がいます。
患者さんの生活や社会背景はまちまちですが、入院してくる方の年代は、比較的高齢の方が多いかもしれません。
そうすると、患者さんは”人生の先輩”であることが多いわけですが、正直なところ、中には「仕事だから我慢できるけど・・・」という相手も少なくありません。
とはいえ、医療者と患者さんの関係は、医療の質以上に、患者さんの医療への満足度に直結します。
お互いが気持ちよく信頼関係を築いていくためには、入院している患者さんのタイプを瞬時に見分け、それぞれに合った対応をしていくことが不可欠なのです。
そこで、この記事では、患者さんをいくつかのタイプに分け、関わり方を紹介していきます。
1 プチVIP、わがまま俺様タイプ
行動
個室に入院し、
「リモコンとって」
「ベッドをあげて」
「ティッシュをとって」・・・
なにからなにまでナースコールを押してきます。
病院をホテルかなにかと勘違いしているのでは?
特徴
上記のような注文をしてくる他、若手のナースや医師の前ではより威圧的な態度をとることが多い印象です。
関わり方
患者さんもこっちの態度をみています。相手を尊重しつつ毅然とした態度で臨むと勝手なわがままも少し減り、厚い信頼を置いてくれるようになります。
2 メモメモ星人
行動
毎日の出来事を起床時から就寝時まで時刻と共に記録しています。
●時●分に誰がベッドサイドに来て、何を話していった
●時●分に何の薬を飲んだ
●時●分に何の検査があった
●時●分にトイレにいった
・・・
・・・
特徴
こちらが監視されている気持ちになります。メモに加えて、重箱の隅をつつくように細かな質問をしてくることが多い印象です。
関わり方
何かやる際にはいつも以上に説明を加え、質問にも丁寧に答えるようにします。マメな相手にはマメに対応することで信頼度が高まります。
3 常に不安
行動
ベッドサイドを訪れるたびに何かしらの症状の訴えが…
ちょっと胸が押されるような感じがした
どきどきする
足が痛い
手がしびれる
めまいがする気がする
新しい薬になってから…等々
特徴
常に色々なことが気になっているようで、なんだか気の毒になってしまいます。ネガティブな空気にこっちも引きずり込まれてしまいそう。
関わり方
もちろん、症状が病的なものであれば対処が必要ですが、不定愁訴であることも多いです。
訴えを一通り聞いて、病気でなければ思いっきり笑顔で「大丈夫!」と言ってあげてください。
4 何も言わない人
行動
医療者に対しても遠慮して言わなかったり、全部自分の中で完結させようとしてしまいます。
付き添いが必要なときでも、自分で頑張って移動してしまったり、症状があっても呼ばずに我慢してしまったりすることも。
特徴
遠慮がちな性格で、言いたいことを言い出せずにいる方の他、
自分の病気を受け入れられずに塞ぎ込んでいる方、ということもあります。
対策
まめに足を運ぶことです。そのたびに話しかけ、なんでも遠慮せずに言ってくれるようにアピールしましょう。少しずつ心を開いて話してくれるようになります。
5 ひたすら話が長い
行動
ベッドサイドにいくたびに、10分以上引き留められることは覚悟の上。
入院中暇なのか、寂しいのか、掃除のおばちゃんとも話し込んでいる姿をみかけます。
病気のことだけでなく、家族や趣味のことまで、なんでも話します。
特徴
おしゃべり大好きなおばちゃん。
関わり方
心してベッドサイドに行かないと行けないので、足が遠のきがちですよね。
必要であれば、予め病棟のスタッフにPHSを5分後に鳴らしてもらうようお願いしておきましょう。そうすれば、ベッドサイドを去るいい口実が作れます。
6 可愛いおばあちゃん、おじいちゃん
行動
耳が少し遠く、認知症もあり、いつでもにこにこ同じ話を繰り返します
合言葉は「大丈夫、なんともない」
特徴
認知症でいろいろなしがらみ、ストレスから解放されているのか、いつもニコニコです。
見ているだけでもほんわか癒されます。
関わり方
話が長くなりそうな場合は、程良いところで話を切ってしまっても良いでしょう。次に行った時には忘れています。笑顔でニコニコお返しして、ベッドサイドを去るようにすれば大丈夫です。
7 なんでも拒否!何もしたくない!
行動
ベッドに寝たままずっと寝たふりをしたり、時には怒りだしたりします。
採血されたくない
検査に行きたくない
薬を飲みたくない
話を聞きたくない 等々・・・
特徴
認知症でそういった行動をとる方もいれば、医療を不審に思って?そのような行動をとる方もいます。
関わり方
本人の合意がないことには、なにもしなくていいですし、無理に説得する必要もありません。家族なども交え話し合い、場合によっては退院を。
ただし、本人に話しかけるときには明るく笑顔を忘れずに。
どの患者さんでもいえること
どんな患者さんでも言えることですが、患者さんと話をするときの基本は「傾聴」です。誰でも話を聞いてもらったという気持ちが満たされると満足度が上がります。
興味や出身地、家族構成等、何か一つでも共通項、共感できることがあると信頼度はグンとアップします。
患者さんの話を聞くなかでとっかかりになりそうな項目があれば、それを話題にするととても喜ばれるものです。
あとは「笑顔」が大事!
少なからず不安な気持ちをもって入院してくる人にとっては、医療者が笑顔でいることが、安心につながります。
この記事を書いた人:ゆさみ