2020/07/20  2020/07/25

コラム

認定看護師(CN)とは?

近年、病院でよく見かけるようになった認定看護師。現在は全国で20721人(2020年6月26 日本看護協会調べ)が認定看護師として登録しています。

「認定看護師にはどうやったらなれるの?」、「なるための日数と費用はどれくらいかかるの?」と思う方に、「認定看護師」の資格取得までのノウハウと、みなさんが気になることをお伝えします。

認定看護師とは

特定の看護分野における熟練した看護技術及び知識を用いて、あらゆる場で看護を必要とする対象に、水準の高い看護実践のできる認定看護師を社会に送り出すことにより、看護ケアの広がりと質の向上を図ることを目的としています。(出典:日本看護協会)

認定看護師(英;Certified Nurse、Certified Expert Nurse、略称;CN)

認定看護師の役割

特定の看護分野において、以下の3つの役割を果たして看護の質の向上に努めていきます。

1 実践

個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践する。

2 指導

看護実践を通して看護職に対し指導を行う。

3 相談

看護職等に対しコンサルテーションを行う。

専門分野と特徴

現行の認定看護分野は21分野ですが、2026年度をもって教育終了となります。

新たな認定看護分野は、特定行為研修を組み込み、認定看護分野を再編し19分野となります。2020年度から教育が開始されます。

ここでは、2020年度から教育が開始される19分野について紹介していきます。★の5分野については2021年度から開始となる予定です。

感染管理

感染管理分野において、個人、家族及び集団に対して、医療関連感染予防のための高度な管理力及 び高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」 「感染に係る薬剤投与関連」

がん放射線療養看護

がん放射線療法看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に 基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」

がん薬物療法看護

がん薬物療法看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基 づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」

緩和ケア

緩和ケア分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練 した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」

クリティカルケア

クリティカルケア分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論能力と病態判断能力に基 づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」 「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連」 「循環動態に係る薬剤投与関連」

呼吸器疾患看護 ★

呼吸器疾患看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づ き、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」 「呼吸器(人工呼吸療法に係る行為)関連」

在宅ケア ★

在宅ケア分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看 護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連」:気管カニューレの交換

「ろう孔管理関連」:胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換

「創傷管理関連」:褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」:脱水症状に対する輸液による補正

手術看護 ★

手術看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練 した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「呼吸器(気道確保に係るもの)関連」:経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整

「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連」:侵襲的陽圧換気の設定の変更/人工呼吸器からの離脱

「動脈血液ガス分析関連」:直接動脈穿刺法による採血/橈骨動脈ラインの確保

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」:脱水症状に対する輸液による補正

「術後疼痛管理関連」:硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整

「循環動態に係る薬剤投与関連」:持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整

小児プライマリケア

小児プライマリケア分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づ き、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連」

新生児集中ケア

新生児集中ケア分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づ き、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」 「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連」

心不全看護

心不全看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟 練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」 「循環動態に係る薬剤投与関連」

腎不全看護 ★

腎不全看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟 練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」 「透析管理関連」

生殖看護 ★

生殖看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練 した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」

摂食嚥下障害看護

摂食嚥下障害看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づ き、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」

糖尿病看護

糖尿病看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟 練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」「血糖コントロールに係る薬剤投与関連」

乳がん看護

乳がん看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟 練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」「創部ドレーン管理関連」

認知症看護

認知症看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練 した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」 「精神及び神経症状に係る薬剤投与関連」

脳卒中看護

脳卒中看護分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟 練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」 「精神・神経症状に係る薬剤投与関連」

皮膚・排泄ケア

皮膚・排泄ケア分野において、個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、 熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を提供する。

【組み込む特定行為区分】

「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」 「創傷管理関連」

認定看護師になるには

認定看護師への道は、大きく分けて以下の6つのステップがあります。

1 看護師免許の取得

2 看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あり、うち3年以上は認定看護分野の実務研修であること

3 「B課程認定看護師教育機関」特定行為研修を組み込んでいる認定看護師教育機関にて、 800 時間程の教育を受講

4 認定看護師認定審査

5 認定看護師認定証交付・登録

6 5年ごとに更新(看護実践と自己研鑽の実績について書類審査)

資格を取るのに必要な日数

認定看護師資格を取得するには、認定看護師教育機関にて800時間(共通科目 380 時間、認定看護分野専門科目の上限 225 時間、統合演習 15 時間以上、臨地実習150 時間以上) ほどの教育と特定行為区分別科目における実習を受けなくてはなりません。そのため、1年間、認定看護師教育機関に通う必要があります。

※看護研修学校(清瀬市)の場合

 年間予定
4月上旬入学式
4月上旬~7月eラーニング学習
8月~10月頃集合教育
10月頃~12月臨地実習
1月統合演習・修了試験
2月~3月課題学習・補講
3月卒業式

資格を取るのに必要な費用

 一般的な入学金・授業料等
入学検定料

   5万円

入学金   5万円
授業料  100万円
認定審査料   5万円
登録料   5万円
合計  120万円

 

※授業料は学校・学科によって異なります。

また、近隣に通いたい学校がない場合は、引っ越しをしなくてはなりません。そうすると必然的に引っ越し代金や、家賃なども必要になります。

トータルするとかなり費用はかかりますが、病院の支援制度や各種奨学金を利用することで自己負担を軽減することができます。まずは自分の施設の支援内容を調べてみることをおすすめします。

更新の必要性

5年ごとに更新が必要になります。(看護実践と自己研鑽の実績について書類審査)

更新時に、審査料と登録料を含め5万円がかかります。

認定看護師の待遇

医療機関にもよりますが、認定看護師手当として月額支給「3,000-5,000 円程度」が最も平均的であることが日本看護協会の調査でわかっています。

まとめ

・現行の認定看護分野は21分野、2020年度から教育が開始となるのは19分野である。

認定看護師への道は、約1年間の日数と、120万円程の費用がかかる。

資格の更新は5年毎に5万円かかる。

資格取得後は有資格手当として3,000~5,000円がつく。

2020年度からの認定看護分野は、特定行為研修を組み込み、認定看護分野を再編するなどしています。

今後も新しい情報は、日本看護協会のHPで発表されると思いますので、随時チェックしてみてください。