【ナースの転職・入職】病院見学時にチェックするポイントは?
転職時や入職時、気になる病院を見つけたら、「病院見学」を申し込んでみましょう!
自分が働く病院の雰囲気や、実際に働いているナースの姿を見ることで、より自分が働くイメージが付きますし、自分の希望と現実とのミスマッチを防ぐことができるからです。
今回は、病院見学を初めて行う方に向けて、”見学の時にチェックしておくべきポイント”をお伝えします。
1 病棟に関すること
(1)病棟の雰囲気、スタッフの人数は足りているか
病棟の雰囲気は、求人情報では読み取ることができません。自分の目で見て確かめるのが一番良いと思います。
【体験談】
私が病院見学に行くときは、比較的落ち着いている時間帯に当たるため、ナースたちが座って記録を書いていることが多いです。
その時は、スタッフ同士で会話のやりとりはあるかどうかをチェックしています。普段からコミュニケーションを取っていないと、気軽に話したりできないのかな?と思うからです。
もちろん、多忙な時間帯に見学に行ったこともあります。その時、ナースステーション内では「ナースコール誰か取ってよ!」「あの人、また肝心な時に居ないけどどこに行ったの?」なんてスタッフ同士の会話が聞こえてきました。
そして、すぐ近くに見学者がいることに気付くと、ナースの態度が豹変したのです。
このように、忙しい時間帯の方が、病棟の現実(人間の本性?笑)を見ることができます。そのため、忙しい時間帯に病院見学ができることが理想です。
また、ナースステーションを見学した時に、ホワイトボードもチェックしてみましょう。ナース1人あたりが受け持つ患者数を確認することで、スタッフの人数は足りているかわかると思います。
以前一度だけ、患者さん20名を1人で担当しているのを目にしたことがあります。明らかな人手不足だとわかり、転職先候補から外しました。
(2)残業代は申請できるか、残業時間はどのくらいか
残業代を申請できる病院と、何故か申請できない病院があります。
申請できない病院は論外です。中には、申請自体はできるものの、真実より少ない残業時間で申請するよう指示してくる”ブラック病院”も存在します。
ナースは、患者さんの対応で超過勤務が多い仕事です。必ず残業代はもらえるかの確認をしましょう。
【体験談】
以前勤めていた病院は、所定の勤務時間を5分でも過ぎれば、残業代を申請できました。それが通常だという感覚で、転職先の病院で、1時間分の残業代を申請しようとすると、
「1時間なら残業代なんかみんなつけていないですよ。3時間超えたら書いています。」とスタッフから言われました。いわゆるサービス残業です。
私は、遊んで残っていたわけでもなく、きちんと仕事をして残っていたのに残業代申請できないことに疑問に思いました。
しかも、数日間働いて職場の状況が見えてきたのですが、休憩も取れすに仕事をしていることについても、誰も何も言わないのです。
結局、月に20時間は残業しているのに、申請したのは5時間ほどでした。スタッフの中でサービス残業が当たり前のようになっているので、「申請する人はおかしい」とさえ言われていました。そんな事情を知っている師長も何も言いません。
このような転職先に行かないように、自ら情報を収集しなければならないのです。
(3)シフトの休み希望、有給取得率
ナースのような過酷で不規則な仕事は、お休みがしっかりとあってこそ続けられるものです。
休みに関しては、聞きづらい部分かもしれませんが、重要なことですので、事前に確認しておくことをお勧めします。
【体験談】
転職した先で、次の月に予定がいくつかあったので、3ヶ所に休み希望を入れたところ、周りから「希望は2ヶ所までですよ」と言われたことがあります。
月に2日分しか休みの希望を出せないなんてありえない!と思いましたが、その病院では、”それが当たり前”のことだったのです。
有給休暇の日数については、通常、勤務年数によって定められています。 しかし、自分で有給の希望を入れても通らないことも多く、退職時に余った有給を泣く泣く捨てるハメになったことがあります。
せめて有給をお金に変えてくれるのであれば納得できるのですが、ただ捨てるだけとなると悔しいですよね。年間の有給取得率がどれくらいなのか、余った有給をお金に変えてくれるのかという点も合わせて知っておきたいところです。
2 ナースに関すること
(1) 見学者に挨拶があるかどうか
病院見学者に対して挨拶ができるのかどうか、また挨拶をしたら返してくれるのかは確認しておきたいところです。見学者がいるのにも関わらず不機嫌そうに働いていて挨拶もしてくれない病棟は、人間関係や労働環境に問題がありそうです。
【体験談】
見学先で働いているナースは、上司から「病院見学者が来た時は、元気に明るく挨拶をするように」などと指導されているものです(指導されていなくても、挨拶くらいしてほしいですけどね。)。
しかし、指導されていない病院もあるようで、目でチラッと病院見学者を見るだけなんてこともあります。
一度、病院見学に行った時に完全に目が合ったのにも関わらず、スルーされたことがありました。こちら側から挨拶をしても、「何で見学者が挨拶してくるのだろう?」というような表情をしており、挨拶は返ってきませんでした。
一方で、元気に明るく「こんにちは」と声をかけてくれる病院は、挨拶だけでなくスタッフ同士もコミュニケーションをよく取っていて、就職してからも打ち解けるのが早かったように思います。
(2) スタッフの経験年数層(新人~ベテランまでそれなりにバランスよくいるか)
働きやすい病院は、新人、中堅、ベテランとバランスよくスタッフの人数がいる場所です。極端に中堅クラスが少ない病院は、ベテランが威張っているところが多い印象です。
【体験談】
私は、極端に中堅看護師が少ない病棟で働いていたことがあります。中堅看護師の役割は、新人や若手への指導や調整役割、ベテランさんがさぼらないように見張るなど、多くの役割を担っています。
そのため、中堅看護師が少ないと、ベテランが若手に対して威張りくさってしまって、若手に課せられる仕事量も増えていきます。
若手は、そんなベテランに口答えできずに萎縮してしまうのです。
また、中堅看護師が少ない病院に、自分が中堅看護師のポジションで転職した場合には、はじめから委員会や後輩指導などを任されることが多く、負担になるのは間違いありません。
また、お子さんがいる場合は、既婚者やママさんナースが多い職場を選んだほうが、周りの理解を得やすいでしょう。
3 環境に関すること
(1)ナースステーションの配線系
配線系がごちゃごちゃしている病院は、導線が長くなり仕事の効率が悪くなります。
【体験談】
ナースステーションには、モニターや電話、パソコンなどの配線があります。
配線がきれいにまとめられて、スタッフがつまずいて転ばないように工夫している病院は、他の備品庫、患者さんの身の回りの環境整備もきちんと出来ていることが多いです。
逆に、配線系がごちゃごちゃしている病院は、ラウンド時に使用するワゴンも収納場所にしっかりと戻されていないなど、導線に障害がある印象を受けました。
(2)休憩室・仮眠室
病院見学の時に、意外と案内されないのが、スタッフの「休憩室」や「仮眠室」です。
休憩室は、お昼休憩の時に必ず1回は入る部屋で、仮眠室は夜勤が始まったら使用する部屋ですので、必ず見せてもらいましょう。
【体験談】
私は、病院見学の時に、希望している病棟のナースステーションと患者さんの病室には案内されましたが、休憩室と仮眠室への案内はありませんでした。
給料も労働条件も良かったので就職したのですが、少し後悔したことがありました。
まず、休憩室はスタッフが6人ほどしか座れないくらいの広さで、若手は空いている病室から面会者用の椅子を持ってきて座っている状態でした。狭すぎて、会話がその場にいる人全員に丸聞こえの状態なので、仲の良いスタッフともプライベートの話は出来ませんでした。
そして、仮眠室は、ナースステーションの隣の診察室を仮眠室代わりに使用していました。ナースステーションの横なので、仮眠時間中もナースコールの音は聞こえ、スタッフの足音なども聞こえうるさくて休めません。
何より、そもそもが診察室なので、仮眠用のベッドやソファーは置いていません。固くて冷たい診察台に横になって仮眠をとるのです。
慣れているスタッフは、「全然眠れるよ〜」と話していましたが、私は2年経っても眠ることができず、辛い夜勤を過ごしていました。
転職前の病院が、休憩室と仮眠室はしっかりとした設備であったため、転職先も同じような感じであろうと思って、病院見学時に確認するのを忘れていたのです。
それ以降は、必ず休憩室と仮眠室を確認するようにしています。仮眠室の確認と一緒に、仮眠時間は1人どれくらい取れているのかも確認しておくのが良いでしょう。
(3)電子カルテ・看護記録
病院によって電子カルテのメーカーと看護記録形式が異なります。
【体験談】
電子カルテのシェアは富士通やNEC、メディコムなど大手企業が大半を占めています。
私は、NECの電子カルテに慣れていましたが、転職先の電子カルテメーカーは富士通でした。「同じ電子カルテだから大丈夫だろう」と思っていましたが、やはりメーカーが違うので操作方法が異なり、慣れるまでは2ヶ月ほどかかりました。
看護記録の形式は、SOAP、フォーカスチャーティング、経時記録があります。こちらも今までの形式とは違うと、慣れないうちは記録に時間を取られてしまうと思います。
どちらも、以前の病院と同じであれば自分にかかる転職ストレスは少なくなると思います。もっとも、異なっていても2ヶ月ほどで慣れてくるので、安心してください。
(4)ゴミ箱仕分け
ゴミ箱の仕分けを見れば、その病院のレベルがわかるといっても過言ではありません。
【体験談】
ステーション内には、燃えるゴミ、燃えないゴミ、感染性廃棄物(赤、黄、オレンジ)のゴミ箱が置かれていると思います。
以前、病院見学の時にゴミ箱をのぞいたところ、血液の付着した手袋が燃えるゴミに入っていたことがありました。当然、「この病院大丈夫か・・・?」と不安になりました。
反対に、分別がしっかりと出来ていれば、上司の指導がしっかりと行き届いていること等が推認されますよね。
(5)託児所の環境とスタッフ
小さい子供がいるスタッフであれば、託児所付きの病院はマストです。自分が働いている間に安心して預かってもらえる場所を探しましょう。
【体験談】
私が子供を預けている病院内の託児所は、スタッフの愛想が良く、子供にもよく話しかけてくれていました。
七夕やハロウィン、クリスマスなどの行事も両親が参加できるように考えてくださいました。自分が夜勤の時も、安心してお願いすることができましたし、何より子供がスタッフに懐いている様子でした。
友人が預けている託児所では、スタッフの愛想が悪く、託児所内の整理整頓されておらず汚いなど不安を抱く要素が多いようでした。
このように、病院によって差があるので、病院見学をする時には必ず一緒に見学をさせてもらいましょう。その時に、スタッフと子供の表情や関わり方を見れば安心して預けられるかがわかると思います。
さいごに
病院見学では、求人情報に載っていないことも自分の目で見て、耳で聞いて確認することができます。
病院見学前にどこを見ればいいかのポイントを知ってさえいれば、転職後に「失敗した」なんて思う可能性も少なくなります。
病院見学は面倒だからといって、スキップするのではなく、理想の職場を見つけるために足を運ぶことをお勧めします。